沈満願



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王昭君歎二首 沈満願(梁の征西記室范靖<沈静>の妻)



王昭君歎二首 其一 沈満願(梁の征西記室范靖の妻) 女流<114-#1>U李白に影響を与えた詩551 漢文委員会kannuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1470



王昭君歎二首 沈満願(梁の征西記室范靖<范静の妻>)
沈滿願 :生卒年不詳。?の武康の人。沈約の孫娘。征西記室范靖(靜)の妻。
西暦540年ごろの梁武帝最盛期頃に評価を受けたようである。ただ、沈約(441年 - 513年)は学問に精励し学識を蓄え、宋・斉・梁の3朝に仕えた。南斉の竟陵王蕭子良の招きに応じ、その文学サロンで重きをなし、「竟陵八友」の一人に数えられた。その後蕭衍(後の梁の武帝)の挙兵に協力し、梁が建てられると尚書令に任ぜられ、建昌県侯に封ぜられた。晩年は武帝の不興をこうむり、憂愁のうちに死去したというので、身分地位についてはそれほど高いものではなかったのではなかろうか。ただ、女性の立場で、王昭君の悲劇を呼んでいるわけで、詩界に参列できるだけのものであったことは間違いない。



王昭君歎二首 其一
早信丹青巧、重貨洛陽師。
千金買?鬢、百萬寫蛾眉。


早く丹青の巧なるを信ぜば、
重く洛陽の師に貨す。
千金 ?鬢を買い、
百萬 蛾眉を寫さしめしに。


現代語訳と訳註
(本文)
王昭君歎二首 其一
早信丹青巧、重貨洛陽師。
千金買?鬢、百萬寫蛾眉。


(下し文)
早く丹青の巧なるを信ぜば、重く洛陽の師に貨す。
千金 ?鬢を買い、百萬 蛾眉を寫さしめしに。


(現代語訳)
あの絵師が、あんなに似顔絵をうまく書くと早くから信じていたなら、私はたくさんの貨幣を都洛陽の絵師に使っていたことだろう。
千金で?鬢の美しさを買って、壱百萬金をかけて蛾眉の美しい姿を写させていたものを。


(訳注)
王昭君歎二首 其一
◎王昭君
前漢の元帝の宮女。紀元前33年(竟寧元年)、匈奴との和親のため、呼韓邪単于に嫁し、「寧胡閼氏」としてその地で没した。名は檣。昭君は字。明君、明妃は、「昭」字をさけたための晋以降の称。
『漢書・本紀・元帝紀』「竟寧元年春正月,匈奴 呼韓邪單于來朝。詔曰:「匈奴呼韓邪單于不忘恩コ,ク慕禮義,復修朝賀之禮,願保塞傳之無窮,邊垂長無兵革之事。其改元爲竟寧,賜單于待詔掖庭王檣爲閼氏。」
・王檣 王昭君のこと。
・閼氏 單于の正妻の称で皇后のこと。
『漢書・匈奴傳・下』「王昭君號寧胡閼氏,生一男伊屠智牙師,爲右日逐王。」
多くの子供をもうけ、夫の没後は、匈奴の習慣に従った再婚をし、父子二代の妻となり、更に子供を儲けている。子供達の名も記録されている。
辺疆安寧のための犠牲になったことで漢・匈奴友好使節の役を果たした。
李白33-35 王昭君を詠う 三首、五言絶句『王昭君』、雑言古詩、『王昭君』、雑言古詩『于?採花』、王昭君ものがたり、『王昭君 二首』 白楽天
聞歌
斂笑凝眸意欲歌,高雲不動碧嵯峨。
銅臺罷望歸何處,玉輦忘還事幾多。
冢路邊南雁盡,細腰宮裏北人過。
此聲腸斷非今日,香?燈光奈爾何。
李商隠 3 聞歌

王昭君の七十余年前に、烏孫公主の故事がある。烏孫公主は漢の皇室の一族、江都王・劉建の娘で、武帝の従孫になる劉細君のこと。彼女は、西域の伊犂地方に住んでいたトルコ系民族の国家・烏孫国に嫁した。ともに漢王朝の対西域政策と軍略を物語るものである。
悲愁歌 烏孫公主(劉細君) 女流<108>542 漢文委員会kannuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1443



早信丹青巧、重貨洛陽師。
あの絵師が、あんなに似顔絵をうまく書くと早くから信じていたなら、私はたくさんの貨幣を都洛陽の絵師に使っていたことだろう。
・丹青 1 赤と青。丹碧。 2 絵の具。また、彩色。「―の妙を尽くす」 3 《「たんぜい」とも》絵画。また、絵の具で描くこと。
・重貨 貨は貨幣、絵師への賄賂ということ。賄賂を多くわたすということ。
・洛陽師 絵師のこと。直接的な名前をぼかすため、洛陽の都の絵師をいうのであるが、王昭君の絵を描いたのは毛延壽は長安の人である。この絵師は斬首刑となっているので、こういう詩においては長安より洛陽という方が「粋」というものであろう。

千金買?鬢、百萬寫蛾眉。
千金で?鬢の美しさを買って、壱百萬金をかけて蛾眉の美しい姿を写させていたものを。
・?鬢 蝉の羽のように美しい鬢。詩経で?を?とする。
・蛾眉  (1)(蛾の触角のような形の)細く美しい眉(まゆ)。 (2)美人。 (3)三日月。眉月。『詩経、衛風、碩人』四章に美人の様子を詠っている。
「手如柔?、膚如凝脂。領如??、歯如瓠犀、?首蛾眉。巧笑倩兮、美目盻兮。」(手は柔?の如く、膚は凝脂の如し。領は??の如く、歯は瓠犀の如し、?首 蛾眉。巧笑 倩たり、美目 盻たり。)
“手は柔らかい「つばな」のよう、肌は白く凝った脂肪のようであり、領は??の如く、歯は瓠犀の如し、蝉の羽のように薄く梳いた髪。「蛾眉」は、蛾の触覚のように弧をえがいた三日月形の眉、笑う口元のあでやかさ、ぱっちりとした美しい目。”


前漢の元帝の時代、匈奴の呼韓邪単于が、漢の女性を閼氏(匈奴の言葉で君主の妻)にしたいと、元帝に依頼したところ(逆に漢王朝が持ちかけたという説もある)王昭君が選ばれた。『西京雑記』によると、元帝は匈奴へ贈る女性として後宮の中の一番醜い女性を選ぶため、宮女の似顔絵帳の中の一番醜い女性を選ぶことにした。宮女たちはそれぞれ自分の似顔絵を美しく描いてもらうため、似顔絵師の毛延寿に賄賂を贈っていたが、ただ一人賄賂を贈らなかった王昭君は一番醜く描かれていたため、王昭君が匈奴への嫁として選ばれた。皇帝に別れを告げるための式で王昭君を初めて見た元帝は王昭君の美しさに仰天したが、匈奴との関係悪化を恐れ、この段階になって撤回することも出来ないため渋々送り出した。その後の調査で、宮女たちから賄賂を取り立てていた毛延寿の不正が発覚し、激怒した元帝は毛延寿を斬首刑に処したという。



詩経 衛風 碩人 手如柔?、膚如凝脂、領如??、歯如瓠犀

詩経 衛風 碩人 四章
手如柔?、膚如凝脂、領如??、歯如瓠犀、?首蛾眉、巧笑倩兮、美目盻兮
『詩集伝』では斉の荘公の娘である荘姜のこととしている。その美しい様子が第二章にある。 手如柔?、膚如凝脂、領如□(虫+酋)□(虫+齊)、歯如瓠犀、□(虫+秦)首蛾眉、巧笑倩兮、美目





沈滿願
西暦540年ごろの人、生卒年不詳。?の武康の人。沈約の孫娘。征西記室范靖(靜)の妻。


  〔約公元五四O年前後在世〕?興武康人,沈約之孫女。生卒年不祥,約梁武帝大同中前後在世。嫁征西記室范靖(一作范靜)為妻。生平事跡不祥。滿願有祖風,善作詩有集五卷,(《隋書志》作三卷。此從《兩唐書志》)傳於世。


沈 約(しん やく、441年 - 513年)は、中国南朝を代表する文学者、政治家。呉興武康(現在の浙江省徳清県)の人。字は休文。

沈氏は元来軍事で頭角を現した江南の豪族であるが、沈約自身は幼いときに父を孝武帝に殺されたこともあり、学問に精励し学識を蓄え、宋・斉・梁の3朝に仕えた。南斉の竟陵王蕭子良の招きに応じ、その文学サロンで重きをなし、「竟陵八友」の一人に数えられた。その後蕭衍(後の梁の武帝)の挙兵に協力し、梁が建てられると尚書令に任ぜられ、建昌県侯に封ぜられた。晩年は武帝の不興をこうむり、憂愁のうちに死去したという。このため諡は、当初「文」とされるところを武帝の命により「隠」とされた。

歴史書では『宋書』および『晋書』『斉紀』を編纂した。詩の分野では同じ「八友」の仲間である謝?、王融らとともに、詩の韻律・形式美を自覚的に追求し、「永明体」と呼ばれる詩風を生み出した。その理論として四声(平・上・去・入)・八病の説を唱えた。南朝の同時代の文壇において最も重きをなし、無名であった劉?が『文心雕龍』を世に出そうとした時には、沈約に見せて評価を求めたという。『梁書』本伝によると彼の文集は100巻あったというが散逸し、現在伝わる文集は明代以降に再編集されたものである。

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昭君歎二首 其一 
早信丹巧
昭君歎二首 其二
今朝猶漢地
映水曲 詠歩揺花
戯蕭娘  詠五彩竹火籠 詠鐙

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王昭君歎二首 其二 沈満願(梁の征西記室范靖の妻) 女流<115>U李白に影響を与えた詩552 漢文委員会kannuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1473


王昭君歎二首 其一
早信丹青巧、重貨洛陽師。
千金買?鬢、百萬寫蛾眉。
あの絵師が、あんなに似顔絵をうまく書くと早くから信じていたなら、私はたくさんの貨幣を都洛陽の絵師に使っていたことだろう。
千金で?鬢の美しさを買って、壱百萬金をかけて蛾眉の美しい姿を写させていたものを。
早く丹青の巧なるを信ぜば、重く洛陽の師に貨す。
千金 ?鬢を買い、百萬 蛾眉を寫さしめしに。






王昭君歎二首 其二
今朝猶漢地、明旦入胡關。
高堂歌吹遠、遊子夢中還。
今朝、わたしはまだここ漢の国土にいる、明日の午前中には異民族の玉関門にいるだろう。
漢の土地にある高楼の奥座敷では、歌や笙笛が遠く聞こえてくる、旅に出た身の上ではもう夢の中でしか買えることが出来ないだろう。
今朝は猶お 漢地、明旦【めいたん】は胡關に入らん。
高堂【こうどう】 歌吹【かすい】 遠し、遊子 夢中に還らん。


現代語訳と訳註
(本文) 王昭君歎二首 其二
今朝猶漢地、明旦入胡關。
高堂歌吹遠、遊子夢中還。


(下し文) 王昭君歎二首 其二
今朝は猶お 漢地、明旦【めいたん】は胡關に入らん。
高堂【こうどう】 歌吹【かすい】 遠し、遊子 夢中に還らん。


(現代語訳)
今朝、わたしはまだここ漢の国土にいる、明日の午前中には異民族の玉関門にいるだろう。
漢の土地にある高楼の奥座敷では、歌や笙笛が遠く聞こえてくる、旅に出た身の上ではもう夢の中でしか買えることが出来ないだろう。

(訳注)
王昭君歎二首 其二
沈滿願 :生卒年不詳。?の武康の人。沈約の孫娘。征西記室范靖(靜)の妻。
王昭君の七十余年前に、烏孫公主の故事がある。烏孫公主は漢の皇室の一族、江都王・劉建の娘で、武帝の従孫になる劉細君のこと。彼女は、西域の伊犂地方に住んでいたトルコ系民族の国家・烏孫国に嫁した。ともに漢王朝の対西域政策と軍略を物語るものである。
悲愁歌 烏孫公主(劉細君) 女流<108>542 漢文委員会kannuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1443

今朝猶漢地、明旦入胡關。
今朝、わたしはまだここ漢の国土にいる、明日の午前中には異民族の玉関門にいるだろう。
・胡 匈奴。ウィグル異民族。・關 漢の時代、西域の関所としては玉門関。

高堂歌吹遠、遊子夢中還。
漢の土地にある高楼の奥座敷では、歌や笙笛が遠く聞こえてくる、旅に出た身の上ではもう夢の中でしか買えることが出来ないだろう。
・高堂 高は高楼、堂はその建物の中で最もよい座敷。・歌吹 歌は唄、吹は笙などの笛。
・遊子 旅人。出征兵士。この場合、漢の土地を後にした王昭君のこと。



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昭君歎二首 其二
今朝猶漢地
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映水曲 沈満願(梁の征西記室范靖の妻) 女流<116>U李白に影響を与えた詩553 漢文委員会kannuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1476


王昭君歎二首 其一
早信丹青巧、重貨洛陽師。
千金買?鬢、百萬寫蛾眉。
あの絵師が、あんなに似顔絵をうまく書くと早くから信じていたなら、私はたくさんの貨幣を都洛陽の絵師に使っていたことだろう。
千金で?鬢の美しさを買って、壱百萬金をかけて蛾眉の美しい姿を写させていたものを。
早く丹青の巧なるを信ぜば、重く洛陽の師に貨す。
千金 ?鬢を買い、百萬 蛾眉を寫さしめしに。


王昭君歎二首 其二
今朝猶漢地、明旦入胡關。
高堂歌吹遠、遊子夢中還。
今朝、わたしはまだここ漢の国土にいる、明日の午前中には異民族の玉関門にいるだろう。
漢の土地にある高楼の奥座敷では、歌や笙笛が遠く聞こえてくる、旅に出た身の上ではもう夢の中でしか買えることが出来ないだろう。
今朝は猶お 漢地、明旦【めいたん】は胡關に入らん。
高堂【こうどう】 歌吹【かすい】 遠し、遊子 夢中に還らん。




沈満願 映水曲 
輕鬢學浮雲、雙蛾擬初月。
水澄正落釵、萍開理垂髪。
軽やかな鬢は浮んでいる雲の形をまねたものである。二つ並んだ美しい眉は8月の初月と見まごうものである。
水の澄んでいるところでは落ちかかっている釵子を正しくなおし、浮草がひらけたところではまた垂れかかる髪を手入する。
輕鬢【けいびん】浮雲【ふうん】を學び、雙蛾【そうが】初月【はつづき】に擬す。
水澄みて落釵【らくさ】を正し、萍【へい】開きて垂髪【すいはつ】を理【おさ】む。


現代語訳と訳註
(本文) 映水曲 
輕鬢學浮雲、雙蛾擬初月。
水澄正落釵、萍開理垂髪。


(下し文) 映水曲 
輕鬢【けいびん】浮雲【ふうん】を學び、雙蛾【そうが】初月【はつづき】に擬す。
水澄みて落釵【らくさ】を正し、萍【へい】開きて垂髪【すいはつ】を理【おさ】む。


(現代語訳)
軽やかな鬢は浮んでいる雲の形をまねたものである。二つ並んだ美しい眉は8月の初月と見まごうものである。
水の澄んでいるところでは落ちかかっている釵子を正しくなおし、浮草がひらけたところではまた垂れかかる髪を手入する。


(訳注)
映水曲 
すみきった水面に白く輝く月の影を映してさらに清らかにしてくれる。美人は水に映る自分の姿を、風に吹かれ、船が揺れて乱れた髪を直す。芸妓の舟遊びを詠ったものか、奥座敷で二人で過ごしたその夜遅く鏡を見て詠ったものか後世に影響を与えた詩である。

輕鬢學浮雲、雙蛾擬初月。
軽やかな鬢は浮んでいる雲の形をまねたものである。二つ並んだ美しい眉は8月の初月と見まごうものである。
・雙蛾 蛾の触角のように細く弧を描いた美しいまゆ。転じて、美人。
・初月(はつづき、しょげつ). 三日月。陰暦3日(ごろ)の、月で最初に見え始める月。特に、陰暦8月の初月。

水澄正落釵、萍開理垂髪。
水の澄んでいるところでは落ちかかっている釵子を正しくなおし、浮草がひらけたところではまた垂れかかる髪を手入する。







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昭君歎二首 其一 
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昭君歎二首 其二
今朝猶漢地
映水曲 詠歩揺花
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詠歩揺花 范靖婦沈満願 漢詩<119>U李白に影響を与えた詩556 漢文委員会kannuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1485



沈約の孫娘
梁の征西記室范靖の妻

詠歩揺花
珠華?翡翠、寶葉間金瓊。
剪荷不似製、爲花如自生。
低枝拂繍領、徴歩動瑤瑛。
但令雲髻插、蛾眉本易成。
宝玉でかざった華が翡翠の羽毛をめぐらせている。美しい葉に金玉がまじりあっている。
切って作った蓮の葉なのだがとても作り物とは見えない、造花であるが天然に生えたもののようだ。
低く下がった枝は刺繍の襟元を払っていて、わずか体を動かすだけでも飾り瑛は揺れ動くのである。
とはいっても、雲型の黒髪の髻にこのかんざしを挿したらいいのだ、蛾の眉などを画くことなどは容易にできることなのだから。
珠華【しゅか】?翡翠【ひすい】を【めぐ】り、寶葉【ほうよう】金瓊【きんけい】間【まじ】はる。
剪荷【せんか】製するに似ず、花と爲りて自生するが如し。
低枝【ていし】繍領【しゅうれい】を拂う、徴歩すれば瑤瑛【ようえい】動く。
但 令雲髻【うんけい】に插しましめん、蛾眉【がび】本【もと】成し易し。


現代語訳と訳註
(本文) 詠歩揺花
珠華?翡翠、寶葉間金瓊。
剪荷不似製、爲花如自生。
低枝拂繍領、徴歩動瑤瑛。
但令雲髻插、蛾眉本易成。


(下し文)(歩揺花を詠う)
珠華【しゅか】?翡翠【ひすい】を【めぐ】り、寶葉【ほうよう】金瓊【きんけい】間【まじ】はる。
剪荷【せんか】製するに似ず、花と爲りて自生するが如し。
低枝【ていし】繍領【しゅうれい】を拂う、徴歩すれば瑤瑛【ようえい】動く。
但 令雲髻【うんけい】に插しましめん、蛾眉【がび】本【もと】成し易し。


(現代語訳)
宝玉でかざった華が翡翠の羽毛をめぐらせている。美しい葉に金玉がまじりあっている。
切って作った蓮の葉なのだがとても作り物とは見えない、造花であるが天然に生えたもののようだ。
低く下がった枝は刺繍の襟元を払っていて、わずか体を動かすだけでも飾り瑛は揺れ動くのである。
とはいっても、雲型の黒髪の髻にこのかんざしを挿したらいいのだ、蛾の眉などを画くことなどは容易にできることなのだから。


(訳注)
詠歩揺花
・歩揺 かんざし。歩揺花:かんざしに花をつけている。
王樞『徐尚書坐賦得可憐』(徐尚書の坐にて「可憐」を得て賦する)
紅蓮披早露、玉貌映朝霞。
飛燕啼妝罷、顧挿歩揺花。
溘匝金鈿滿、參差繍領斜。
暮還垂瑤帳、香鐙照九華。
紅蓮【こうれん】早露に披【ひら】き、玉貌【ぎょくぼう】朝霞【ちょうか】に映ず。
飛燕【ひえん】啼妝【ていそう】罷【や】み、顧みて歩揺【ほよう】の花を挿しはさむ。
溘匝【こうそう】金鈿【きんてん】滿ち、參差【しんし】繍領【しゅうれい】斜なり。
暮に還りて瑤帳【えいちょう】を垂る、香鐙【こうとう】九華【きゅうか】照る。


珠華?翡翠、寶葉間金瓊。
宝玉でかざった華が翡翠の羽毛をめぐらせている。美しい葉に金玉がまじりあっている。
・珠華 宝玉でかざった華。・翡翠 翡翠の羽毛。
・寶葉 美しい葉。蓮の葉。・金瓊 金玉。瓊は玉。


剪荷不似製、爲花如自生。
切って作った蓮の葉なのだがとても作り物とは見えない、造花であるが天然に生えたもののようだ。


低枝拂繍領、徴歩動瑤瑛。
低く下がった枝は刺繍の襟元を払っていて、わずか体を動かすだけでも飾り瑛は揺れ動くのである。
・繍領 襟元に刺繍模様がある着物。・徴歩 わずかに動くこと。


但令雲髻插、蛾眉本易成。
とはいっても、雲型の黒髪の髻にこのかんざしを挿したらいいのだ、蛾の眉などを画くことなどは容易にできることなのだから。
・雲髻 高く結んだ、美しい婦人の髪。曹植『洛神賦』「雲髻峩峩、脩眉聯娟。」(雲髻 峩峩として、脩眉 聯娟たり。)漫成三首 其三 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集-82 「参考」として曹植『洛神賦』とこの詩に関するものがたりを参照されたい。


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戯蕭娘




戯蕭娘 范靖婦沈満願 宋詩<120>玉台新詠集巻四 女性詩 557 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1488


戯蕭娘
明珠翠羽帳、金薄?帷。
ねやの奥座敷に輝いている真珠を鏤めた翡翠のとばり、その内側に金箔を飾った緑のうす絹のとばりがある。
因風時?擧、想像見芳姿
風に吹かれて時にはしばらくまくれ上がってしまう。きっとその中に(蕭娘さん)あなたの綺麗なお姿があると思います。
?晨插歩揺、向晩解羅衣。
清々しい朝を迎えると外していた簪を髪に挿すのでしょう。それから晩方になればその奥座敷でうすぎぬの肌着をとくことでしょう。
託意風流子、佳情?肯私。
あなたはあの風雅なあの人(范靖)に心を寄せていますね。そういう男女の愛情について私は独り占めにしようなんて思ってもいませんから。


(蕭娘を戯むる)
明珠【めいしゅ】翠羽【すいう】の帳【とばり】、金薄【きんぱく】?【りょくしょう】の帷【い】。
風に因りて時に暫く擧がる、想像して芳姿を見る。
?晨【せいしん】に歩揺を插【さしはさ】み、晩に向いて羅衣【らい】を解く。
意を託すは風流の子、佳情 ?【なん】ぞ肯えて私にせん。


現代語訳と訳註
(本文)戯蕭娘
明珠翠羽帳、金薄?帷。
因風時?擧、想像見芳姿
?晨插歩揺、向晩解羅衣。
託意風流子、佳情?肯私。


(下し文)(蕭娘を戯むる)
明珠【めいしゅ】翠羽【すいう】の帳【とばり】、金薄【きんぱく】?【りょくしょう】の帷【い】。
風に因りて時に暫く擧がる、想像して芳姿を見る。
?晨【せいしん】に歩揺を插【さしはさ】み、晩に向いて羅衣【らい】を解く。
意を託すは風流の子、佳情 ?【なん】ぞ肯えて私にせん。


(現代語訳)
ねやの奥座敷に輝いている真珠を鏤めた翡翠のとばり、その内側に金箔を飾った緑のうす絹のとばりがある。
風に吹かれて時にはしばらくまくれ上がってしまう。きっとその中に(蕭娘さん)あなたの綺麗なお姿があると思います。
清々しい朝を迎えると外していた簪を髪に挿すのでしょう。それから晩方になればその奥座敷でうすぎぬの肌着をとくことでしょう。
あなたはあの風雅なあの人(范靖)に心を寄せていますね。そういう男女の愛情について私は独り占めにしようなんて思ってもいませんから。


(訳注)
戯蕭娘
蕭娘:沈満願の夫の范靖、梁の征西記室范靖の愛人、第二夫人、家妓とおもわれる。戯れるは「因風」「想像」「?晨」「向晩」末の二句にあらわしている。
沈滿願 :生卒年不詳。?の武康の人。沈約の孫娘。征西記室范靖(靜)の妻。
西暦540年ごろの梁武帝最盛期頃に評価を受けたようである。ただ、沈約(441年-513年)は学問に精励し学識を蓄え、宋・斉・梁の3朝に仕えた。南斉の竟陵王蕭子良の招きに応じ、その文学サロンで重きをなし、「竟陵八友」の一人に数えられた。その後蕭衍(後の梁の武帝)の挙兵に協力し、梁が建てられると尚書令に任ぜられ、建昌県侯に封ぜられた。晩年は武帝の不興をこうむり、憂愁のうちに死去したというので、身分地位についてはそれほど高いものではなかったのではなかろうか。ただ、女性の立場で、王昭君の悲劇を呼んでいるわけで、詩界に参列できるだけのものであったことは間違いない。


明珠翠羽帳、金薄?帷。
ねやの奥座敷に輝いている真珠を鏤めた翡翠のとばり、その内側に金箔を飾った緑のうす絹のとばりがある。
・翠羽 翡翠の羽毛。
?帷 うす絹のとばり


因風時暫擧、想像見芳姿
風に吹かれて時にはしばらくまくれ上がってしまう。きっとその中に(蕭娘さん)あなたの綺麗なお姿があると思います。


?晨插歩揺、向晩解羅衣。
清々しい朝を迎えると外していた簪を髪に挿すのでしょう。それから晩方になればその奥座敷でうすぎぬの肌着をとくことでしょう。
・?晨 情交の後の夜明けをいう。
歩揺 かんざし。
羅衣 閨の女性の衣服。うす絹の肌着。


託意風流子、佳情?肯私。
あなたはあの風雅なあの人(范靖)に心を寄せていますね。そういう男女の愛情について私は独り占めにしようなんて思ってもいませんから。
託意 こころをよせる。・風流子 范靖をさす。一夫多妻制の時代で、第二夫人以降は美人で素養がある女性ほど男性の株は上がったのである。
佳情 男女の愛情。・私 独り占めをするという意。





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昭君歎二首 其一 
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昭君歎二首 其二
今朝猶漢地
映水曲 詠歩揺花
戯蕭娘  詠五彩竹火籠 詠鐙



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詠五彩竹火籠



詠五彩竹火籠 范靖婦沈満願 宋詩<121>玉台新詠集巻四 女性詩558 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1491


詠五彩竹火籠
可憐潤霜質、繊剖復毫分。
愛らしいのは若竹の時の竹の表面の白粉をつけた時の潤のある竹質である、その竹を細かく裂き、そして、毛のように割かれるのである。
織作囘風苣、製爲?綺文。
その裂かれた竹は燻製の煙がよく回るように丸い腰尻のように織り込まれ、めぐる綺麗な彩の綵絹をはりつけてできあがるのである。
含芳出珠被、曜彩接?裙。
芳しい香りを含み、そして珠の付いた被服に出してくる、輝く彩と女性の下半身に着ける萌黄のはかまにかおりが接合している。
徒嗟金麗飾、豈念昔凌雲。
竹にとっては嘆かわしいことであろう、こんな風に黄金でもってきれいに飾られていることが、昔はあのように立派に雲を凌いで高く聳えていたというのにそんなことは今は思いもしないことだ。

(五彩の竹火籠を詠う)
可憐なる潤霜【じゅんそう】の質、繊剖【せんぼう】して復た毫分【ごうふん】す。
織りて囘風の苣【きょ】と作し、製して?綺【けいき】の文と爲す。
含芳【がんほう】珠被【しゅひ】より出でて、曜彩【とうさい】?裙【しょうくん】に接す。
徒【いたずら】に嗟して金麗の飾、豈念【おも】わんや昔 雲を凌ぎしを。


現代語訳と訳註
(本文)詠五彩竹火籠
可憐潤霜質、繊剖復毫分。
織作囘風苣、製爲?綺文。
含芳出珠被、曜彩接?裙。
徒嗟金麗飾、豈念昔凌雲。


(下し文)
(五彩の竹火籠を詠う)
可憐なる潤霜【じゅんそう】の質、繊剖【せんぼう】して復た毫分【ごうふん】す。
織りて囘風の苣【きょ】と作し、製して?綺【けいき】の文と爲す。
含芳【がんほう】珠被【しゅひ】より出でて、曜彩【とうさい】?裙【しょうくん】に接す。
徒【いたずら】に嗟して金麗の飾、豈念【おも】わんや昔 雲を凌ぎしを。


(現代語訳)
愛らしいのは若竹の時の竹の表面の白粉をつけた時の潤のある竹質である、その竹を細かく裂き、そして、毛のように割かれるのである。
その裂かれた竹は燻製の煙がよく回るように丸い腰尻のように織り込まれ、めぐる綺麗な彩の綵絹をはりつけてできあがるのである。
芳しい香りを含み、そして珠の付いた被服に出してくる、輝く彩と女性の下半身に着ける萌黄のはかまにかおりが接合している。
竹にとっては嘆かわしいことであろう、こんな風に黄金でもってきれいに飾られていることが、昔はあのように立派に雲を凌いで高く聳えていたというのにそんなことは今は思いもしないことだ。


(訳注)
詠五彩竹火籠(五彩の竹火籠を詠う)
五彩 竹の籠に張った絹の模様が五色である、五色糸で織られていれば錦となるが、五色に輝くでもよい。
竹火籠 火籠は内部で香を焚き上部に竹の籠を置いて衣服に香をしみこませるものである。竹製の燻籠のことをいう。女性の比喩としている。


可憐潤霜質、繊剖復毫分。
愛らしいのは若竹の時の竹の表面の白粉をつけた時の潤のある竹質である、その竹を細かく裂き、そして、毛のように割かれるのである。
潤霜 若竹の時の竹の表面の白粉をつけた時の事を云い、女の処女、乙女をいう。


織作囘風苣、製爲?綺文。
その裂かれた竹は燻製の煙がよく回るように丸い腰尻のように織り込まれ、めぐる綺麗な彩の綵絹をはりつけてできあがるのである。
織作 竹細工で織り込んでいく。
囘風苣 ラッキョウのような丸い腰尻形をいう。
・?綺文 めぐる綺麗な彩の綵絹


含芳出珠被、曜彩接?裙。
芳しい香りを含み、そして珠の付いた被服に出してくる、輝く彩と女性の下半身に着ける萌黄のはかまにかおりが接合している。
含芳 竹かごに架けた被服に香燻が含まれる。
?裙 女性の下半身に着ける萌黄のはかま。腰巻のような役割のもの。


徒嗟金麗飾、豈念昔凌雲。
竹にとっては嘆かわしいことであろう、こんな風に黄金でもってきれいに飾られていることが、昔はあのように立派に雲を凌いで高く聳えていたというのにそんなことは今は思いもしないことだ。
金麗飾 テクストによっては金を「今」に作るが芸妓の比喩であることからは、黄金の方がよい。
凌雲 青竹が高く聳えて生えていたこと。



女性詩人
沈満願   (范靖婦) (梁の征西記室范靖の妻)
昭君歎二首 其一 
早信丹巧
昭君歎二首 其二
今朝猶漢地
映水曲 詠歩揺花
戯蕭娘  詠五彩竹火籠 詠鐙



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詠鐙



詠鐙 范靖婦沈満願 宋詩<122>玉台新詠集巻四 女性詩559 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1494


詠鐙
綺筵日已暮、羅幃月未歸。
美しいむしろに日が暮れてきた。うすぎぬの帳にはまだ月かげは映らない。
開花散鶴彩、含光出九徴。
燈火の花が開く、そこには鮮やかな色の鶴の影が散っている。こうした光を含んでいる景色は西王母を迎える漢の武帝が灯した九徴の鐙のひかりがでているのだ。
風軒動丹?、氷宇澹?暉。
この鐙は風の吹く軒に丹い焔をうごかす。そして氷を思わせるほどすんだ空に青いひかりをうすく挙げている。
不吝輕蛾繞、唯恐曉蠅飛。
蛾や虫が軽やかに飛びまわるは惜しいとも何とも思わないのだけれど、ただ、待ち続ける夜が明けて蠅が飛びわるのだけは怖いことなのだ。(このような花の宴を設置するのなら来てほしい。その中で私は待っているのよ。)

綺筵【きえん】日 已に暮る、羅幃【らい】月 未だ歸らず。
開花 鶴彩【かくさい】を散じ、含光【がんこう】九徴よりも出づ。
風軒に 丹?【たんえん】を動かし、氷宇に?暉【せいき】澹たり。
吝【おし】まず輕蛾【けいが】の繞【めぐ】り、唯 恐る曉蠅【ぎょうぼう】の飛ばんことを。


現代語訳と訳註
(本文)詠鐙
綺筵日已暮、羅幃月未歸。
開花散鶴彩、含光出九徴。
風軒動丹?、氷宇澹?暉。
不吝輕蛾繞、唯恐曉蠅飛。


(下し文)詠鐙
綺筵【きえん】日 已に暮る、羅幃【らい】月 未だ歸らず。
開花 鶴彩【かくさい】を散じ、含光【がんこう】九徴よりも出づ。
風軒に 丹?【たんえん】を動かし、氷宇に?暉【せいき】澹たり。
吝【おし】まず輕蛾【けいが】の繞【めぐ】り、唯 恐る曉蠅【ぎょうぼう】の飛ばんことを。


(現代語訳)
美しいむしろに日が暮れてきた。うすぎぬの帳にはまだ月かげは映らない。
燈火の花が開く、そこには鮮やかな色の鶴の影が散っている。こうした光を含んでいる景色は西王母を迎える漢の武帝が灯した九徴の鐙のひかりがでているのだ。
この鐙は風の吹く軒に丹い焔をうごかす。そして氷を思わせるほどすんだ空に青いひかりをうすく挙げている。
蛾や虫が軽やかに飛びまわるは惜しいとも何とも思わないのだけれど、ただ、待ち続ける夜が明けて蠅が飛びわるのだけは怖いことなのだ。(このような花の宴を設置するのなら来てほしい。その中で私は待っているのよ。)


(訳注)
詠鐙
燈火について、夜を愛し、夜明けが来るのを恐れる女の気持ちを詠うのであるが、今日こそは自分を尋ねてくれ、一夜を過ごしたいと思って楽しみにしていた女性、待てども来ない夜、以前は楽しい中での燈火であったのである。朝が来るまでに来てほしいと女性は思うのである。それが最近続くので朝が怖いというものである。別の女性の所に行っていることへの嫉妬心はこの詩からは見えない。数多く詠った李商隠の女性を詠う詩の原型の詩である。


綺筵日已暮、羅幃月未歸。
美しいむしろに日が暮れてきた。うすぎぬの帳にはまだ月かげは映らない。
月未歸 歸は回、去って又帰って來る。


開花散鶴彩、含光出九徴。
燈火の花が開く、そこには鮮やかな色の鶴の影が散っている。こうした光を含んでいる景色は西王母を迎える漢の武帝が灯した九徴の鐙のひかりがでているのだ。
開花 燈火の花が開く。
九徴 九徴の鐙のひかり。西育時代の張華によって纏められたとされる『博物志』に要約して次のように次のように書かれている。
西王母は'九華殿において武帝の請いに応じて元始天王から傳えられた長生の秘術を語る。語り終えた西王母はそのまま去ろうとするが'武帝は慇懃に九徴燈を設けて引き留める。そこで西王母はもう一人の女仙上元夫人を招く。西王母と上元夫人をまじえた席で'武帝は西王母から「五嶽眞形圖」と呼ばれるおふだの一種を'上元夫人から六甲靈飛など十二篇の紳雲を招く方を授かる。明旦に至って二人の女神は歸ってゆく。その後、武帝は西王母たちの戒めを守らなかったため'天火が下って授けられた経典は失なわれてしまう。


風軒動丹?、氷宇澹?暉。
この鐙は風の吹く軒に丹い焔をうごかす。そして氷を思わせるほどすんだ空に青いひかりをうすく挙げている。


不吝輕蛾繞、唯恐曉蠅飛。
蛾や虫が軽やかに飛びまわるは惜しいとも何とも思わないのだけれど、ただ、待ち続ける夜が明けて蠅が飛びわるのだけは怖いことなのだ。(このような花の宴を設置するのなら来てほしい。その中で私は待っているのよ。)


女性詩人
沈満願   (范靖婦) (梁の征西記室范靖の妻)
昭君歎二首 其一 
早信丹巧
昭君歎二首 其二
今朝猶漢地
映水曲 詠歩揺花
戯蕭娘  詠五彩竹火籠 詠鐙
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