唐山夫人 安世房中歌十七首


安世房中歌十七首 唐山夫人 漢詩<123>古詩源 巻二 女性詩560 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1497


安世房中歌十七首

大孝備矣,休コ昭清。高張四縣,樂充官庭。
芬樹羽林,雲景杳冥,金支秀華,庶旄翠旌。

《七始》、《華始》,肅倡和聲。神來宴?,庶幾是聽。
鬻鬻音送,細齊人情。忽乘青玄,熙事備成。
清思??,經緯冥冥。

我定?數,人告其心。敕身齊戒,施教申申。
乃立祖廟,敬明尊親。大矣孝熙,四極爰?。

王侯秉コ,其鄰翼翼,顯明昭式。清明鬯矣,皇帝孝コ。
竟全大功,撫安四極。

海?有奸,紛亂東北。詔撫成師,武臣承コ。
行樂交逆,《簫》、《勺》群慝。肅為濟哉,蓋定燕國。

大海蕩蕩水所歸,高賢愉愉民所懷。
大山崔,百卉殖。民何貴?貴有コ。

安其所,樂終?。樂終?,世繼緒。
飛龍秋,遊上天。高賢愉,樂民人。

豐草?,女羅施。善何如,誰能回!
大莫大,成教コ;長莫長,被無極。

雷震震,電耀耀。明コ?,治本約。
治本約,澤弘大。加被寵,咸相保。
コ施大,世曼壽。

都?遂芳,??桂華。孝奏天儀,若日月光。
乘玄四龍,回馳北行。羽旄殷盛,芬哉芒芒。
孝道隨世,我署文章。
十一
馮馮翼翼,承天之則。吾易久遠,燭明四極。
慈惠所愛,美若休コ。杳杳冥冥,克綽永福。
十二
磑磑即即,師象山則。烏呼孝哉,案撫戎國。
蠻夷竭歡,象來致福。兼臨是愛,終無兵革。
十三
嘉薦芳矣,告靈饗矣。告靈既饗,コ音孔臧。
惟コ之臧,建侯之常。承保天休,令問不忘。
十四
皇皇鴻明,蕩侯休コ。嘉承天和,伊樂厥福。
在樂不荒,惟民之則。
十五
浚則師コ,下民咸殖。令問在舊,孔容翼翼。
十六
孔容之常,承帝之明。下民之樂,子孫保光。
承順?良,受帝之光。嘉薦令芳,壽考不忘。
十七
承帝明コ,師象山則。雲施稱民,永受厥福。
承容之常,承帝之明。下民安樂,受福無疆。


唐山夫人
安世房中歌 其一
大孝備矣,休コ昭清。
わが帝の曾子のいう「三孝」の大孝は備わっており、その美徳は天下に清々しく昭らかとなった。
高張四縣,樂充官庭。
ここに堂の四面に高く欒器を懸けめぐらし、奏楽を設けて祖を祀ろうとする、奏楽の音は宮庭に充ちわたる。
芬樹羽林,雲景杳冥,
堂のまわり、数多の羽飾りの帷が、林のようにたちならんでいる様子は、五色の雲がはるか先まで続くように見える。
金支秀華,庶旄翠旌。
楽器をかける黄金の支柱は、とりわけはなやかで、そこに王朝の旗印の旄牛の尾や翡翠の羽が、美しく飾られている。
安世房中歌
大孝備【そなわ】り、休徳【きゅうとく】昭明【しょうめい】なり。
高く四縣【しけん】を張り、梁は官庭【かんてい】に充つ。
芬として樹てる羽林は、雲景の杳冥【とうめい】たるごとく、
金支【きんし】の秀華【しゅうか】なるは、庶旄【しょぼう】翠旌【すいせい】なり。


現代語訳と訳註
(本文)安世房中歌 其一 唐山夫人
大孝備矣,休コ昭清。高張四縣,樂充官庭。
芬樹羽林,雲景杳冥,金支秀華,庶旄翠旌。


(下し文)
安世房中歌  唐山夫人
大孝備【そなわ】り、休徳【きゅうとく】昭明【しょうめい】なり。
高く四縣【しけん】を張り、梁は官庭【かんてい】に充つ。
芬として樹てる羽林は、雲景の杳冥【とうめい】たるごとく、
金支【きんし】の秀華【しゅうか】なるは、庶旄【しょぼう】翠旌【すいせい】なり。


(現代語訳)
わが帝の曾子のいう「三孝」の大孝は備わっており、その美徳は天下に清々しく昭らかとなった。
ここに堂の四面に高く欒器を懸けめぐらし、奏楽を設けて祖を祀ろうとする、奏楽の音は宮庭に充ちわたる。
堂のまわり、数多の羽飾りの帷が、林のようにたちならんでいる様子は、五色の雲がはるか先まで続くように見える。
楽器をかける黄金の支柱は、とりわけはなやかで、そこに王朝の旗印の旄牛の尾や翡翠の羽が、美しく飾られている。


(訳注)
安世房中歌 其一 唐山夫人
唐山夫人 (紀元前206頃在世)姓は唐山,漢高祖劉邦之寵?。高帝の宮人で名は未詳、生歿についても詳らかでない。

安世房中歌 郊廟の祭祀に用いる雅楽で、唐山夫人の所作。
房中歌としたのは、詩経の周南・召南の詩を王后国君・国君夫人が「房中楽歌」としたのにならって作ったから。
恵帝の時に名をあらためて「安世楽」とした。


大孝備矣,休コ昭清。
わが帝の曾子のいう「三孝」の大孝は備わっており、その美徳は天下に清々しく昭らかとなった。
・大孝 『禮記祭義』.「曾子曰。曾子曰:「孝有三:大孝尊親,其次不辱,其下能養。」(孝に三あり、大孝は親を尊び、其の次は辱めず、其の下は能く養ふ)
・休徳 休は美。


高張四縣,樂充官庭。
ここに堂の四面に高く欒器を懸けめぐらし、奏楽を設けて祖を祀ろうとする、奏楽の音は宮庭に充ちわたる。
高張四県 県は古の懸の字、鐘・磐などの楽器を木に懸け東西南北の四面に置くこと。


芬樹羽林,雲景杳冥,
堂のまわり、数多の羽飾りの帷が、林のようにたちならんでいる様子は、五色の雲がはるか先まで続くように見える
・芬 衆多のさま。
羽林 羽葆の盛んなこと林の如きをいう。羽葆は五色の羽を集めて作った垂絹(幢)。
・杳冥 奥深くしてうすぐらきさま。


金支秀華,庶旄翠旌。
楽器をかける黄金の支柱は、とりわけはなやかで、そこに王朝の旗印の旄牛の尾や翡翠の羽が、美しく飾られている。
金支 黄金の支柱で、鋸製が上に立て、その上に族や翠旗の飾りをつけたもの。


安世房中歌十七首(其2) 唐山夫人 

古詩源 巻二 女性詩5




「七始」「華始」,肅倡和聲。
楽士が「七始」・「華始」の奏楽をつつしんでとなえる、これに唱和する衆声がおこるのである。
神來宴?,庶幾是聽。
こうして天より神霊がくだり来たって和らぎよろこびとなる、この奏楽を聴き給わんことをこいねがうものである。
鬻鬻音送,細齊人情。
奏楽の終わりはおごそかにしずまりかえった、そして細やかな気持ちに人の心情をととのえたのだ。
忽乘青玄,熙事備成。
奏楽が終わり、神はたちまち青天にのぼり給うのである。やがて祭りの晴れやかなる次第はことごとく終わるのである。
清思??,經緯冥冥。
列席にあずかった人々の心中には清らかな思いがゆかしくも生じてきて、こうして果てないところ隅々に至るまで天子の畏敬がおよぼされたのである。


現代語訳と訳註
(本文)二
七始華始,肅倡和聲。
神來宴?,庶幾是聽。
鬻鬻音送,細齊人情。
忽乘青玄,熙事備成。
清思??,經緯冥冥。


(下し文)
始華始、粛しんで侶へ和せる聾あり。
神来りて宴?【あんき】し、庶幾【こいねがわく】は是れ聽かん。

鬻鬻【しゅくしゅく】たる音送【おんそう】、細かに人の情を齊【ととの】ふ。
忽ち青玄【せいげん】に乗じて、熙事【きじ】備【そなわ】り成る。
清思【せいし】の??【ようよう】たる、冥冥【めいめい】を経緯【けいい】す。


(現代語訳)
楽士が「七始」・「華始」の奏楽をつつしんでとなえる、これに唱和する衆声がおこるのである。
こうして天より神霊がくだり来たって和らぎよろこびとなる、この奏楽を聴き給わんことをこいねがうものである。
奏楽の終わりはおごそかにしずまりかえった、そして細やかな気持ちに人の心情をととのえたのだ。
奏楽が終わり、神はたちまち青天にのぼり給うのである。やがて祭りの晴れやかなる次第はことごとく終わるのである。
列席にあずかった人々の心中には清らかな思いがゆかしくも生じてきて、こうして果てないところ隅々に至るまで天子の畏敬がおよぼされたのである。


(訳注) 二
七始華始,肅倡和聲。
楽士が「七始」・「華始」の奏楽をつつしんでとなえる、これに唱和する衆声がおこるのである。
・七始・華始 共に楽の名。七始は天・地・春・夏。秋・冬・人の始。華始は万物英華の始をいう。


神來宴?,庶幾是聽。
こうして天より神霊がくだり来たって和らぎよろこびとなる、この奏楽を聴き給わんことをこいねがうものである。
・宴? ?は嬉。宴で和らぎ喜ぶ。


鬻鬻音送,細齊人情。
奏楽の終わりはおごそかにしずまりかえった、そして細やかな気持ちに人の心情をととのえたのだ。
粥粥 探静、しずまりかえるさま。 ・音送 楽のおわり。


忽乘青玄,熙事備成。
奏楽が終わり、神はたちまち青天にのぼり給うのである。やがて祭りの晴れやかなる次第はことごとく終わるのである。
熙事 晴れやかなる次第。


清思??,經緯冥冥。
列席にあずかった人々の心中には清らかな思いがゆかしくも生じてきて、こうして果てないところ隅々に至るまで天子の畏敬がおよぼされたのである。
?? 幽静の意。
経緯冥冥 果てないところ隅々に至るまで天子の畏敬がおよぼされた。幽遠なる天地を経緯すること。天地を経緯するとは文理を天地問に布きおよぼす意。



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