古詩十九首之一
行行重行行,與君生別離。
相去萬餘裏,各在天一涯。
道路阻且長,會面安可知。
胡馬依北風,越鳥巣南枝。
相去日已遠,衣帶日已緩。
浮雲蔽白日,遊子不顧返。
思君令人老,歳月忽已晩。
棄捐勿復道,努力加餐飯。


古詩十九首之二
青青河畔草,鬱鬱園中柳。
盈盈樓上女,皎皎當窗庸。
娥娥紅粉妝,纖纖出素手。
昔為娼家女,今為蕩子夫。
蕩子行不歸,空床難獨守。


古詩十九首之三
青青陵上柏,磊磊澗中石。
人生天地間,忽如遠行客。
鬥酒相娯樂,聊厚不為薄。
驅車策駑馬,遊戲宛與洛。
洛中何鬱鬱,冠帶自相索。
長衢羅夾巷,王侯多第宅。
兩宮遙相望,雙闕百餘尺。
極宴娯心意,戚戚何所迫?


古詩十九首之四
今日良宴會,歡樂難具陳。
彈箏奮逸響,新聲妙入神。
令コ唱高言,識曲聽其真。
齊心同所願,含意?未申。
人生寄一世,奄忽若飆塵。
何不策高足,先據要路津。
無為守貧賤,坎軻長苦辛。


古詩十九首之五
西北有高樓,上與浮雲齊。
交疏結綺窗,阿閣三重階。
上有弦歌聲,音響一何悲!
誰能為此曲,無乃杞梁妻。
清商隨風發,中曲正徘徊。
一彈再三嘆,慷慨有餘哀。
不惜歌者苦,但傷知音稀。
願為雙鴻鵠,奮翅起高飛。


古詩十九首之六
?江采芙蓉,蘭澤多芳草。
采之欲遺誰,所思在遠道。
還顧望舊郷,長路漫浩浩。
同心而離居,憂傷以終老。


古詩十九首之七
明月皎夜光,促織鳴東壁。
玉衡指孟冬,衆星何歴歴。
白露沾野草,時節忽復易。
秋蝉鳴樹間,玄鳥逝安適。
昔我同門友,高舉振六。
不念攜手好,棄我如遺跡。
南箕北有鬥,牽牛不負軛。
良無盤石固,?名復何益?


古詩十九首之八
冉冉孤生竹,結根泰山阿。
與君為新婚,兔絲附女蘿。
兔絲生有時,夫婦會有宜。
千里遠結婚,悠悠隔山陂。
思君令人老,軒車來何遲!
傷彼尢哩ヤ,含英揚光輝。
過時而不采,將隨秋草萎。
君亮執高節,賤妾亦何為!


古詩十九首之九
庭中有奇樹,漉t發華滋。
攀條折其榮,將以遺所思。
馨香盈懷袖,路遠莫致之。
此物何足貴,但感別經時。


古詩十九首之十
迢迢牽牛星,皎皎河漢女。
纖纖擢素手,札札弄機杼。
終日不成章,泣涕零如雨。
河漢清且淺,相去復幾許。
盈盈一水間,脈脈不得語。


古詩十九首之十一
回車駕言邁,悠悠渉長道。
四顧何茫茫,東風搖百草。
所遇無故物,焉得不速老。
盛衰各有時,立身苦不早。
人生非金石,豈能長壽考?
奄忽隨物化,榮名以為寶。


古詩十九首之十二
東城高且長,逶?自相屬。
回風動地起,秋草萋已香B
四時更變化,?暮一何速!
晨風懷苦心,蟋蟀傷局促。
蕩滌放情志,何為自結束!
燕趙多佳人,美者顏如玉。
被服羅裳衣,當?理清曲。
音響一何悲!弦急知柱促。
馳情整巾帶,沈吟聊躑躅。
思為雙飛燕,銜泥?君屋。


古詩十九首之十三
驅車上東門,遙望郭北墓。
白楊何蕭蕭,松柏夾廣路。
下有陳死人,杳杳即長暮。
潛寐?泉下,千載永不寤。
浩浩陰陽移,年命如朝露。
人生忽如寄,壽無金石固。
萬?更相送,賢聖莫能度。
服食求神仙,多為藥所誤。
不如飲美酒,被服?與素。


古詩十九首之十四
去者日以疏,生者日已親。
出郭門直視,但見丘與墳。
古墓犁為田,松柏摧為薪。
白楊多悲風,蕭蕭愁殺人!
思還故里閭,欲歸道無因。


古詩十九首之十五
生年不滿百,常懷千?憂。
晝短苦夜長,何不秉燭遊!
為樂當及時,何能待來茲?
愚者愛惜費,但為後世嗤。
?人王子喬,難可蜿等期。


古詩十九首之十六
凜凜?雲暮,螻蛄夕鳴悲。
涼風率已氏C遊子寒無衣。
錦衾遺洛浦,同袍與我違。
獨宿累長夜,夢想見容輝。
良人惟古歡,枉駕惠前綏。
願得常巧笑,攜手同車歸。
既來不須臾,又不處重?。
亮無晨風翼,焉能?風飛?
眄?以適意,引領遙相希。
徒倚懷感傷,垂涕沾雙扉。


古詩十九首之十七
孟冬寒氣至,北風何慘栗。
愁多知夜長,仰觀?星列。
三五明月滿,四五蟾兔缺。
客從遠方來,遺我一書?。
上言長相思,下言久離別。
置書懷袖中,三?字不滅。
一心抱區區,懼君不識察。


古詩十九首之十八
客從遠方來,遺我一端綺。
相去萬餘里,故人心尚爾。
文彩雙鴛鴦,裁為合歡被。
著以長相思,?以結不解。
以膠投漆中,誰能別離此?


古詩十九首之十九
明月何皎皎,照我羅床緯。
憂愁不能寐,攬衣起徘徊。
客行雖雲樂,不如早旋歸。
出?獨彷徨,愁思當告誰!
引領還入房,?下沾裳衣。

漢の無名氏


古詩十九首 之一、之二、之三、之四 ・・・・・・・・之十九




古詩十九首.其之一は「文選」にも見える.一人の一時の作でない,名称の纏めから,「文選」では作者不明.「玉台新詠」では,19首中8首は漢の枚乗の作品として収められているが、今日ではそれは疑われていて、漢の武帝時代の作ではないとされはじめている。ここでは、その考察をしない。この詩は後世に多大な影響を持つものであることでここに紹介するものである。各詩の下に訳注・解説のブログを示している。参考にされたい。

この詩は後世に多大な影響を与えた詩であり、熟読し、また折に触れて読み返すと古詩の味わいが深まる。


古詩十九首

古詩十九之第一首
行行重行行、與君生別離。 行き行き重ねて行き行く、君と生きて別離す。
相去萬餘里、各在天一涯。 相去ること萬餘里、各々天の一涯に在り。
道路阻且長、會面安可知。 道路 阻にして且つ長し、會面 安くんぞ知る可けんや。
胡馬依北風、越鳥巣南枝。 胡馬 北風に依り、越鳥 南枝に巣くう。
相去日已遠、衣帯日已緩。 相去りし 日々已に遠く、衣帯は 日々已に緩む。
浮雲蔽白日、遊子不顧返。 浮雲は 白日を蔽い、遊子は 返り顧ず。
思君令人老、歳月忽已晩。 君を思い 人をして老いせしむ、歳月 忽ち已に晩れる。
棄捐勿復道、努力加餐飯。 棄捐 復た道う勿からん、努力し 餐飯を加えよ。
古詩十九首 (1) 漢詩<88>U李白に影響を与えた詩520 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1377


古詩十九之第ニ首
青青河畔艸、欝欝園中柳。 青青 河畔の艸【くさ】、欝欝【うつうつ】たる園中の柳。
盈盈楼上女、皎皎当窓庸。 盈盈【えいえい】たる 楼上の女、皎皎【こうこう】として窓庸【そうゆう】に当たる。
娥娥紅紛粧、繊繊出素手。 娥娥【がが】たる紅紛の粧【よそお】い、繊繊【せんせん】として素手【そしゅ】を出す。
昔為倡家女、今為蕩子婦。 昔は 倡家【しょうか】の女為り、今は 蕩子【とうし】の婦【つま】と為る。
蕩子行不帰、空牀難独守。 蕩子は行きて帰らず、空牀 独り守ること難し。
古詩十九首 (2) 漢詩<89>U李白に影響を与えた詩521 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1380


古詩十九首之第三首
青青陵上栢、磊磊?中石。 青青たる陵上【りょうじょう】の栢【はく】、磊磊【らいらい】たる?中【かんちゅう】の石。
人生大地間、忽如遠行客。 人の大地の間に生る、忽ち遠行の客の如し。
斗酒相娯楽、聊厚不為薄。 斗酒 相い娯楽しみて、聊【しばら】く厚しとして 薄しと為さざらん。
駆車策駑馬、遊戯宛與洛。 車を駆て 駑馬【どば】に策【むちう】ちて、宛と洛とに遊戯【ゆうぎ】す。
洛中何欝欝、冠帯自相索。 洛中 何ぞ欝欝【うつうつ】として、冠帯【かんたい】自ら相い索【もと】む。
長衢羅夾巷、王侯多第宅。 長衢【ちょうく】夾巷【きょうこう】に羅【つら】なり、王侯 第宅【ていたく】多し。
両宮遥相望、双闕百余尺。 両宮 遥かに相い望む、双闕【そうけつ】百余尺あり。
極宴娯心意、戚戚何所迫。 宴を極めて 心意を娯【たのし】ましぶれば、戚戚【せきせき】として 何の迫る所ぞ。
古詩十九首 (3) 漢詩<90>U李白に影響を与えた詩522 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1383


古詩十九首之第四首 
今日良宴会、歓楽難具陳。 今日の良宴会、歓楽は具【つぶさ】に陳【の】べ難し。
弾筝奮逸響、新声妙入神。 筝を弾いて逸響【いつきょう】を奮【るる】い、新声 の妙 神に入る。
令徳唱高言、識曲聴其真。 令徳【れいとく】高言を唱【とな】へば、曲を識りて其の真を聴く。    
斉心同所願、含意倶未申。 心を斉しくして願う所を同じくするも、意を含みて倶【とも】に未だ申べず。
人生寄一世、奄忽若飆塵。 人生 一世に寄せること、奄忽【えんこつ】として飆塵【ひょうじん】の若し。
何不策高足、先拠要路津。 何ぞ高足に策【むち】うちて、先づ要路の津に拠らずして。
無為守窮賎、轗軻長苦心。 無為に窮賎【きゅうせん】を守り、轗軻【かんか】長【とこしな】しえに苦心する。
古詩十九首 (4) 漢詩<91>U李白に影響を与えた詩523 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1386


古詩十九首之第五首
西北有高樓,上與浮雲齊。 西北に高楼有り、上は浮雲と斉し。
交疏結綺窗,阿閣三重階。 交疏 綺を結ぶ窓、阿閣 三重の階。
上有弦歌聲,音響一何悲。 上に弦歌の声あり、音響 一に何ぞ悲しき。
誰能為此曲?無乃杞梁妻! 誰が能く此の局を為す、無乃杞梁の妻ならんか。
清商隨風發,中曲正徘徊。 清商【せいかん】風に随って発し、中曲にいて正に徘徊す。
一彈再三嘆,慷慨有餘哀。 一たび弾じて再三歎く、慷慨して 余哀有り。
不惜歌者苦,但傷知音希, 歌う者の苦しみを惜しまず、但だ知音の稀なるを傷む。
願為雙鴻鵠,奮翅起高飛。 願はくは双鳴の鶴と為りて、翅を奮いて起って高飛せんことを。
古詩十九首 (5) 漢詩<92>U李白に影響を与えた詩524 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1389


古詩十九首之第六首
渉江采芙蓉,蘭澤多芳草。 江を渉【わた】りて芙蓉【ふよう】を采る、蘭澤【らんたく】芳草【ほうそう】多し。
采之欲遺誰,所思在遠道。 之を采りて誰にか遺【おく】らんと欲する、思ふ所は遠道【えんどう】に在り。
還顧望舊郷,長路漫浩浩。 還【めぐ】り顧【かえりみ】て 旧郷を望めば、長路漫として浩浩たらん。
同心而離居,憂傷以終老。 同心にして離屈【りきょ】せば、憂傷【ゆうしょう】して以て終に老いなん。
古詩十九首 (6) 漢詩<93>U李白に影響を与えた詩525 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1392


古詩十九首之第七首
明月皎夜光,促織鳴東壁。 明月皎として夜光り、促織【そくしょく】東壁に鳴く。
玉衡指孟冬,衆星何歴歴。 玉衡【ぎょくこう】孟冬を指し、衆星 何ぞ歴歴たる。
白露沾野草,時節忽復易。 白露 野草を沾【うるお】し、時節 忽ち復た易【かわ】る
秋蝉鳴樹間,玄鳥逝安適。 秋蝉【しゅうぜん】樹閨yじゅかん】に鳴き、玄烏逝【さ】りて安くにか適【ゆ】く。
昔我同門友,高舉振六。 昔我が同門の友、高擧して六【りくかく】を振ふ。
不念攜手好,棄我如遺跡。 手を携へし好【よしみ】を念はず、我を棄つること遺跡の如し。
南箕北有鬥,牽牛不負軛。 南には箕【き】北には斗有り、牽牛【けんぎゅう】軛【やく】を負はず、
良無盤石固,?名復何益? 良に盤石【ばんじゃく】の固きこと無くんは、虚名【きょめい】復た何の益かあらん。
古詩十九首 (7) 漢詩<94>U李白に影響を与えた詩526 漢文委員会 紀頌之の漢詩ブログ1395


古詩十九首之第八首
冉冉孤生竹,結根泰山阿。 冉冉たる孤生の竹,根を泰山の阿【くま】に結ぶ。
與君為新婚,兔絲附女蘿。 君と新婚を爲すは、兎絲の女羅に附くなり。
兔絲生有時,夫婦會有宜。 免絲生ずるに時有り、夫婦会するに宜有り。
千里遠結婚,悠悠隔山陂。 千里遠く婿を結び、悠悠山陂を隔つ。
思君令人老,軒車來何遲! 君を思へば人をして老いしむ、軒車何ぞ乗ること遲き。
傷彼尢哩ヤ,含英揚光輝。 傷む彼の恵蘭の花、英を含みて光輝を揚ぐ。
過時而不采,將隨秋草萎。 時を過ぎて采らずんは、將に秋草の萎むに随はんとするを。
君亮執高節,賤妾亦何為! 君亮に高節を執らば、賤妾亦何をか焉さん。
古詩十九首 (8) 漢詩<95>U李白に影響を与えた詩527 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1398


古詩十九首之第九首
庭中有奇樹,漉t發華滋。 庭中に奇樹【きじゅ】有り、緑葉 華滋【かじゅ】を發【ひら】く。
攀條折其榮,將以遺所思。 條【えだ】を攀【よ】じて其の栄【はな】を折り、將に以て思ふ所に遺らんとす。
馨香盈懷袖,路遠莫致之。 馨香【けいこう】懐袖【かいしゅう】に盈【み】つれども、路遠くして之を致す莫し。
此物何足貴,但感別經時。 此物何ぞ貴ぶに足らんや、但別れて時を経たるに感ずるのみ。
古詩十九首 (9) 漢詩<96>U李白に影響を与えた詩528 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1401


古詩十九首之第十首
迢迢牽牛星,皎皎河漢女。 迢迢【ちょうちょう】たる牽牛星、皎皎【こうこう】たる河漢の女。
纖纖擢素手,札札弄機杼。 纖纖【せんせん】として素手【そしゅ】を擢【ぬき】んで、札札【さつさつ】として機抒【きちょ】を弄【ろう】す。
終日不成章,泣涕零如雨。 終日【しゅうじつ】章を成さず、泣涕【きゅうてい】零【お】ちて雨の如し。
河漢清且淺,相去復幾許。 河漢清くして且つ浅し、相去る復た幾許【いくばく】ぞ。
盈盈一水間,脈脈不得語。 盈盈【えいえい】たる一水の間、脈脈として語るを得ず。
古詩十九首之十 (10) 漢詩<97>U李白に影響を与えた詩529 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1404


古詩十九首之第十一首
回車駕言邁,悠悠渉長道。 車を廻らして駕して言に邁き、悠悠として長道を渉る。
四顧何茫茫,東風搖百草。 四顧すれば何ぞ茫茫たる、東風百草を搖【うご】かす。
所遇無故物,焉得不速老。 遇ふ所 故物無し、焉んぞ速かに老いざるを得んや。
盛衰各有時,立身苦不早。 盛衰各おの時有り、立身早からざるを苦しむ。
人生非金石,豈能長壽考? 人生は金石に非ず、豈能く長く寿考【じゅこう】ならんや。
奄忽隨物化,榮名以為寶。 奄忽【えんこつ】として物に隨って化す、栄名【えいめい】以て宝と爲さん。
古詩十九首之十一 漢の無名氏(11) 漢詩<98>U李白に影響を与えた詩530 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1407


古詩十九首之第十二首
東城高且長,逶?自相屬。 東城 高く且つ長く、逶?【いい】として自ら相属す。
回風動地起,秋草萋已香B 廻風地を動かして起り、秋草萋【せい】として以【すで】に緑なり。
四時更變化,?暮一何速! 四時更【こもご】も變化し、歳暮【さいぼ】一に何ぞ速【すみや】かなる。
晨風懷苦心,蟋蟀傷局促。 晨風【しんふう】苦心を懐【いだ】き、蟋蟀【しつしゅつ】 局促【きょくそく】を傷む。
蕩滌放情志,何為自結束! 蕩滌【とうてき】して情志を放【ほしいまま】にせん、何為【なんす】れぞ自ら結束する。
古詩十九首之十二 漢の無名氏(12)-1 漢詩<99-#1>U李白に影響を与えた詩531 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1410
燕趙多佳人,美者顏如玉。 燕趙佳人多く、美なる者顏【かんばせ】玉の如し。
被服羅裳衣,當戸理清曲。 羅【うすもの】の裳衣を被服し、戸に当りて清曲を理【おさ】む。
音響一何悲!弦急知柱促。 音響一に何ぞ悲しき、絃急【げんきゅう】にして柱【ことじ】の促【せま】れるを知る。
馳情整巾帶,沈吟聊躑躅。 情を馳せて巾帯を整へ、沈吟して聊【しばら】く躑躅【てきちょく】す。
思為雙飛燕,銜泥巣君屋。 思ふ雙飛燕【ひえん】と為りて、泥を銜んで君が屋に巣くはんことを。
古詩十九首之十二 漢の無名氏(12)-2 漢詩<99-#2>U李白に影響を与えた詩532 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1413


古詩十九首之第十三首 
驅車上東門,遙望郭北墓。 車を上東門に驅【か】り、遙かに郭北【かくほく】の墓を望む。
白楊何蕭蕭,松柏夾廣路。 白楊 何ぞ蕭蕭【しょうしょう】たる、松柏 廣路【こうろ】を夾【はさ】む。
下有陳死人,杳杳即長暮。 下に陳死【ちんし】の人有り、杳杳【ようよう】として長暮【ちょうぼ】に即【つ】く。
潛寐黄泉下,千載永不寤。 黄泉【こうせん】の下に潜【ひそ】み寐【い】ねて、千載長く寤【さ】めず。
古詩十九首之十三 漢の無名氏(13)-1 漢詩<100-#1>U李白に影響を与えた詩533 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1416
浩浩陰陽移,年命如朝露。 浩浩として陰陽移り、年命【ねんめい】朝露の如し。
人生忽如寄,壽無金石固。 人生忽【こつ】として寄するが如く、寿には金石の固き無し。
萬歳更相送,賢聖莫能度。 萬歳更【こもご】も相送り、賢聖【けんせい】能く度る莫し。
服食求神仙,多為藥所誤。 服食して神仙を求むれは、多くは薬の誤る所と為る。
不如飲美酒,被服丸與素。 如かず美酒を飲みて、丸【がん】と素【そ】とを被服せんには。
古詩十九首之十三 漢の無名氏(13)-2 漢詩<100-#2>U李白に影響を与えた詩534 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1419


古詩十九首之第十四首
去者日以疏,生者日已親。 去る者は日ゝに以て疎く、来る者は日ゝに以て親しむ。
出郭門直視,但見丘與墳。 郭門を出でて直視すれば、但丘と墳とを見るのみ。
古墓犁為田,松柏摧為薪。 古墓は犁【す】かれて田と爲り、松柏は摧【くだ】かれて薪と爲る。
白楊多悲風,蕭蕭愁殺人! 白楊【はくよう】悲風多く、蕭蕭として人を愁殺【しゅうさい】す。
思還故里閭,欲歸道無因。 故の里閭【りりょ】に還らんことを思ひ、歸らんと欲するも道因る無し。
古詩十九首之十四 漢の無名氏(14) 漢詩<101>U李白に影響を与えた詩535 漢文委員会紀頌之の漢詩ブログ1422


古詩十九首之第十五首
生年不滿百,常懷千?憂。 生年は百に満たず、常に千歳の憂を懐く。
晝短苦夜長,何不秉燭遊! 晝は短くして夜の長きに苦しみ、何ぞ燭を秉って遊ばざる。
為樂當及時,何能待來茲? 欒しみを為すほ常に時に及ぶべし、何ぞ能く來茲【らいし】を待たん。
愚者愛惜費,但為後世嗤。 愚者は費を愛惜し、但後世の嗤と為るのみ。
仙人王子喬,難可蜿等期。 仙人王子喬は、蜿【えん】に期を等しうす可きこと難し。
古詩十九首之十五 漢の無名氏(15) 漢詩<102>U李白に影響を与えた詩536 漢文委員会紀頌之の漢詩ブログ1425


古詩十九首之第十六首
凜凜歳雲暮,螻蛄夕鳴悲。 凛凛として歳云に暮れ、螻蛄【ろうこ】夕に鳴き悲しむ。
涼風率已氏C遊子寒無衣。 涼風 率【にわ】かに己に氏yはげ】しく、遊子寒くして衣無し。
錦衾遺洛浦,同袍與我違。 錦衾【きんきん】洛浦【らくほ】に遣【おく】りしも、同抱我と違【たが】へり。
獨宿累長夜,夢想見容輝。 獨り宿して長夜を累【かさ】ね、夢に想うて容輝を見る。
良人惟古歡,枉駕惠前綏。 良人古歡【こかん】を惟【おも】ひ、駕を枉【ま】げて前綏【ぜんすい】を恵まる。
古詩十九首之十六 漢の無名氏(16)-1 漢詩<103-#1>U李白に影響を与えた詩537 漢文委員会紀頌之の漢詩ブログ1428
願得常巧笑,攜手同車歸。 願はくは長く巧笑【こうしょう】するを得んと、手を携へ車を同じうして歸る。
既來不須臾,又不處重?。 既に来りて須臾【しゅゆ】ならず、又重?【ちょうい】に盛らず。
亮無晨風翼,焉能?風飛? 【もこと】に晨風【しんふう】の翼無し、蔦【いずく】んぞ能く風を凌いで飛ばん。
旁視以適意,引領遙相希。 旁視【べんらい】以て意に適【かな】ひ、領【くび】を引いて遙かに相希【のぞ】む。
徒倚懷感傷,垂涕沾雙扉。 徒倚【しい】して感傷を懐【いだ】き、涕を垂れて雙扉【そうひ】を沾【うるお】す。
古詩十九首之十六 漢の無名氏 (16)-2 漢詩<103-#2>U李白に影響を与えた詩538 漢文委員会紀頌之の漢詩ブログ1431


古詩十九首之第十七首
孟冬寒氣至,北風何慘栗。 孟冬寒気至り、北風何ぞ慘栗たる。
愁多知夜長,仰觀?星列。 愁多くして夜の表きを知り、仰いで衆星の列るを観る。
三五明月滿,四五蟾兔缺。 三五明月満ち、四五蟾兔【せんと】缺く。
客從遠方來,遺我一書札。 客遠方より来り、我に一書札を遣る。
上言長相思,下言久離別。 上には長く相思ふと言ひ、下には久しく離別すると言ふ。
置書懷袖中,三歳字不滅。 書を懐袖【かいしゅう】の中に置き、三歳なるも字滅せず。
一心抱區區,懼君不識察。 一心に區區を抱き、君の識察せざらんことを憤る。
古詩十九首之十七 漢の無名氏 (17) 漢詩<104>U李白に影響を与えた詩539 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1434


古詩十九首之第十八首
客從遠方來,遺我一端綺。 客遠方より乗り、我に一端の綺を遣る。
相去萬餘里,故人心尚爾。 相去ること萬餘里なるも、故人の心 尚ほ爾り。
文彩雙鴛鴦,裁為合歡被。 文彩は雙鴛鴦、裁ちて合歓の被と為す。
著以長相思,縁以結不解。 著するに長相思を以てし、縁とるに結不解を以てす。
以膠投漆中,誰能別離此? 膠を以て漆中に投ぜば、誰か能く此を別離せん。
古詩十九首之十八 漢の無名氏(18) 漢詩<106>U李白に影響を与えた詩540 漢文委員会kannuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1437


古詩十九首之第十九首
明月何皎皎,照我羅床緯。 明月何ぞ皎皎たる、我が羅【うすぎぬ】の床緯【しょうい】を照す。
憂愁不能寐,攬衣起徘徊。 憂愁して寐【い】ぬる能はず、衣を攬【と】りて起って徘徊【はいかい】す。
客行雖雲樂,不如早旋歸。 客行楽しと云ふと雖も、早く旋歸【せんき】するに如【し】かじ。
出戸獨彷徨,愁思當告誰! 戸を出でて獨り彷徨【ほうこう】し、愁思當【まさ】に誰にか告ぐべき。
引領還入房,涙下沾裳衣。 領【くび】を引きて還りて房に入れば、涙下りて裳衣を清す。
古詩十九首之十九 漢の無名氏(19) 漢詩<107>U李白に影響を与えた詩541 漢文委員会kannuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1440






inserted by FC2 system